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ガラパゴス日記

 

1991929日 ガラパゴスに飛ぶ Quito Puerto Ayora, Santa Cruz, Galapagos  

 キトーの安宿で6時半起床、朝食後バスで空港に向かう。空港では、同行を約束していた川村氏が既に来ていた。すぐにチェックインする。飛行機は自由席で、窓際を確保できた。ほとんど定刻の9時半に離陸、30分ほどでエクアドル最大の都市、太平洋に面したグアヤキルへ。ここで乗客がかなり降りて、ガラパゴスに向けて飛び立った時には半分以上空席だった。機は順調に飛行して、12時半(ガラパゴス時間11時半)、ガラパゴス空港着陸。飛行機を降りると、風があって思ったより涼しい。この空港は小さな無人島にあるので、まずバスに乗り、桟橋からフェリーに乗ってサンタクルス島に渡り、さらにまたバスに乗って1時間強走る。道は乾燥したサボテンの生えた荒地を走っていくが、やがて山を登り出すといつの間にか緑が濃くなって、あたりは熱帯雨林となる。高度計を見ると標高は500メートルだ。こんな小さな島で数百メートルの高度差でこれだけ植生が違うのは驚きだ。やがて道はまた海岸目指して下って行くが、いつの間にか緑のジャングルは終わって、またサボテンの多い乾いた荒地となっている。3時過ぎにサンタクルス島の中心、プエルト・アヨラ到着。ここはガラパゴスの島巡りクルーズ基地となる町だ。そのまま歩いて、グローリアという民宿にチェックイン。112,300スクレ(300)と、エクアドル本土よりかなり高い。早速昼食を取りに街に出る。街とはいっても、のんびりした小さな村だ。どこへでも歩いて行ける。レストランは旅行者向けの高そうなところばかりだったが、得意の嗅覚で地元民向けの安食堂を発見。だが定食の値段はエクアドル本土の2倍以上。コーラ1450スクレ(60)もする。大陸から1000キロも離れた孤島だから、物価が高いのは仕方なかろう。昼食後港の桟橋をぶらぶらしていると、あの海イグアナが数匹コンクリートの桟橋上で日向ぼっこしているのでびっくり。良く見るとあちこちに居る。ここではどこにでも居る動物らしい。

 

930日 ダーウィン研究所のガラパゴ(ゾウガメ)たち

 朝食後ダーウィン研究所へ。一部が博物館になっていて、ガラパゴスの自然についてわかりやすく説明してある。やはり昨日バスから見た通り、この小さな島の植生は場所によって驚くほど異なっており、それは内陸部の降水量が海岸部の数倍になるからだとのこと。ガラパゴス諸島は約百万年から二百万年前の火山活動により生まれた島の集まりだ。ガラパゴスの動物はほとんど全て特殊な進化を遂げた種で、天敵が居ないため大陸からの動物に対する免疫力がなく、人間が運んできた犬や羊、ねずみなどの動物のお陰で大きな被害を受けているそうだ。その後ここで育てられているゾウガメ(『ガラパゴ』といい、ガラパゴス諸島の名前の起源なのだ)を見に行く。相当大きなのも居て、いっしょに写真をとる。彼らの体重は200キロ以上、年齢は130歳くらいだろうとのこと。人生の大先輩だ。

昼食後Tortuga Bayまで海水浴に行く。町から遊歩道を歩いて40分くらい。すばらしい白砂の浜で、黒い花崗岩とのコントラストがすばらしい。ところどころ海イグアナもいて、かなり巨大なやつも見かけた。水は本当に透明できれいだ。だが水温は普通の熱帯の海よりもちょっと低く、25度くらいか? ちょっと泳いだり、砂浜で寝そべったりして5時頃までゆっくりした。

 

101日 サンタクルス島最高峰登頂

 今日もいい天気だ。午前中、近々ガラパゴスクルーズに出る船がないか船主組合のオフィスまで聞きに行ったが、日程と値段の希望に沿う船がなく、もうちょっと待つことにする。今の季節はツーリストが多くないみたいだ。午後島の最高峰Media Lunaに登ってみることにした。まずおんぼろバスに15分乗ってBella Vistaという内陸の村へ。標高は300メートル以下だが、ここはもう緑のジャングルだ。村の食堂で昼食後、登り始める。登山道ははっきりしていて、歩きやすい。1時間で登れるという話だったが、行けども行けども頂上に着かない。やがて樹林帯を抜け、低い茂みが続く。眺めはいいが、雲が低く垂れ込めていて下の方はあまり見えない。かなり速く登ったつもりだったが約2時間かかってやっと頂上まで上り詰めた。高度計は800メートルを指している。風が強く、ほとんど雲の中なので何も見えない。まるで高山に登ったみたいだ。天気がよければ島じゅう見渡せるのだろうが・・・。30分ほど休んだ後、帰りは1時間半で一気に下った。下の方は天気もいい。こんな小さな島の小さな山の上と下でこれだけ天気が違うのは驚きだ。そういう意味でも面白い経験だった。

 

102日 ガラパゴスの入場料は40ドル!(1991年現在)

 午前中ダーウィン研究所内にある国立公園事務所に、公園入場料を支払いに行った。これを払わないとクルーズには行けない事になっているのだ。外人料金でなんと40ドル。物価の安いエクアドルでは、1週間分の旅行費用にあたる金額だ。しかも来年からは80ドルに値上げされるという。ついでにまたガラパゴ(ゾウガメ)に会いに行った。ちょうど食事中で、牧草をムシャムシャ食べている。手に草を持ってやると取って食べるので面白い。草といっしょに手も食われそうでちょっとスリルがあるが。午後、近くの民宿のおばさんに聞くと、今日10人のバックパッカ−がやって来て、明日の夜クルーズに出発するのだという。12人乗りの船だから、あと2人は乗れるだろうとのこと。明朝8時に集まって船主と日程をつめるというので、いっしょに行くと約束した。やっと出航出来そうでうれしい。

 

103日 クルーズ開始 <第1日> Puerto Ayora Isla Española

 朝8時に他のバックパッカー達と会って、船主の家まで交渉に行く。メンバーはドイツ人、デンマーク人、フランス人、スイス人など10名と我々日本人2名の計12名だ。船の名はコルモラント。11日当り42ドルと既に合意してしまったようで、あとは日程の調整。つい数年前までは小船を利用したガラパゴスクルーズの相場は11日あたり1520ドルだったそうだが、船主たちが集まってカルテルを作り、大幅に値上げされたそうだ。そのせいか船主はかなり裕福そうで、この国では富の象徴である大型テレビとビデオ、ステレオが部屋の真中に鎮座していた。値上げされたとはいっても142ドルと日本の民宿の宿泊費程度である。この値段で3食付きで船に乗ってあちこちクルーズ出来るのだから、我々にとってはそれほど高くもない。だが物価が日本の5分の一程度のエクアドルでは破格の値段である。ガラパゴスクルーズは通常5日間程度の日程で行く人が多いが、我々はあまり人の行かない西部のイサベラ島も含めて7日間のクルーズとすることにした。7日分294ドルの半額を前払いして契約完了。今夜9時出発と決まった。船を見に行くが、漁船に毛の生えた程度のもので、けっこう古そうで設備もあまりよくなさそうだ。値段相応というところか。クルーズ代金に飲み物は含まれないそうなので、午後はコーラやミネラルウォーターを購入。午後9時荷物を持って桟橋に集合し、船内に移る。小さなベッドをあてがわれたが、こんな閉所恐怖症になりそうな空間で1週間も過ごせるのか不安になる。揺れて気持ちが悪いので、さっさと横になった。せまくてしかもエンジンの真上なので居心地の悪いことこの上ない。寝ているうちに船は出港し、第一目的地のエスパニョーラ島に向かう。だがめちゃくちゃ揺れて気分が悪く、なかなか眠れなかった。 

 

104  <第2日> アザラシの歓迎 Isla Española Isla de Santa Fé

 眠っているうちに船は無事エスパニョーラ島に到着したようだ。8時頃朝食。船酔いで気分はよくないが、もどさずに済んだし食欲もあるので少し自信がついた。船酔いは最大の心配事だったが、小さな船は大きな船に比べて揺れ方も違うから、意外と船酔いになりにくいのかもしれない。朝食後モーターボートに乗ってエスパニョーラ島に上陸。早速アザラシの出迎えだ。彼らが全く人間を怖がらないのは、南極にいたアザラシといっしょだった。赤ちゃんアザラシがけっこういて好奇心からこちらに近づいてくる。母親はちょっと心配そうだが、止めようとはしない。写真を何枚かとった後島内を歩いて一周。海イグアナがうじゃうじゃいる。ほとんどが空を見上げてじっと動かないが、中には海を泳いでいるやつもいて、その姿はとてもユーモラスだ。喜劇役者のような顔をして、真っ青の足を持ったBlue Footed Booby(青足カツオドリ?)もたくさんいる。こういった動物たちが人間を全く恐れず、数十センチの距離まで近づいて観察できるのは驚きだ。2時間ほどで船に戻り昼食。その後船は出港して、今度はサンタフェ島を目指す。揺れて気分が悪いのでベッドに寝たきりで過ごした。午後7時ごろやっと到着するがもう真っ暗で何も見えない。夕食後ガイドのウィリアムズがいろいろとガラパゴスの話をしてくれた。8283年頃のエルニーニョ現象でガラパゴスの動物は相当の被害を受けたそうだ。その後他のツーリストとおしゃべり。船酔いで疲れたけど、面白い1日だった。

 

105  <第3日> なまけ者の陸イグアナ Santa Fé Plaza Baltromé 

朝食後サンタフェ島に上陸。ここもアザラシがたくさんいる。ガラパゴス固有の動物として海イグアナ同様有名な陸イグアナが何匹かいて、主食のサボテンを食っていた。陸イグアナは海イグアナよりもずっと大きい。船に戻ってから海に飛び込んで海水浴。水はけっこう冷たくて深い。大きな魚がたくさんいる。みんなで岸に向かって泳いで行ったら、いきなり大きな雄アザラシがこっちに向かってきてウォーッと吠えられたので、びっくり仰天して逃げ出した。単なる威嚇だったようで、誰も足をちぎられたりしなかったのは幸いだったが。アザラシ家族に陸地から接近すると彼らは全く警戒しないのだが、海から接近すると敵とみなされるようだ。昼食後、今度は近くのプラサ島に移動。この島は赤いサンゴ草みたいな植物に覆われていてとても美しい。ここには陸イグアナがうじゃうじゃいる。観光客が餌を与えすぎたため怠け者になってしまい、サボテンを取るのが下手になって数が相当減ったそうだ。何せサボテンの木の下でじっと動かず、サボテンの葉が枯れて落ちてくるのをひたすらじっと待っているのだから・・・。彼らの寿命は60年以上あるらしい。その後船はサンタクルス島北部目指して進むが、夕方バルトラ島とサンタクルス島の間の海峡で船底が暗礁に乗り上げるという事故が発生。幸いにたいした事はなく、船はそのままバルトロメ島目指して進んだ。今夜は星空が見えてなかなかきれいだ。

 

106日 <第4日> 熱帯のペンギン Baltromé James Bay (San Salvador)  

 朝起きると船はバルトロメ島の砂浜に乗り上げていた。昨日ぶつけた船底を修理しているのだ。朝食後島に上陸。この島は19年前に噴火したばかりだそうで、溶岩流に埋め尽くされ草木一本ない・・・と思いきや、既に生命は芽生え始めていた。小さな草やサボテンが所々に生えている。サボテンはまるで溶岩の上にそのまま根付いているようだ。その後近くの砂浜でひと泳ぎする。水温は昨日より暖かく、その上今日はすばらしい晴天だ。泳いでいるとサメが数匹寄ってきたのでびっくりしたが、ガイドのウィリアムズ君、怖がることはないと言う。これは大変おとなしい種類のサメだそうで、人間をかじったりしないそうだ。最初はちょっとビビっていたが、段々勇気が湧いてきて、みんなでサメの群れの近くまで寄ってじっくり観察した。その後船のある浜辺まで戻って、修理の終わった船をみんなで海に押し出した。この時どこからともなく一匹のフレンドリーなアザラシが泳ぎ寄って来て、我々の周りを泳ぎまわり、とても遊びたそうだ。海の中に立っていたらいきなり足首にキスをされてびっくりしてしまった。海草とじゃれまわったり、我々の周りを何回転もしたりして遊びまわっている。船はついに砂地を離れ、我々はモーターボートに乗って船に戻った。アザラシ君もモーターボートのあと先を泳ぎまわって楽しそうだ。実にすばらしい野生動物との交流だった。

 船で昼食後、またモーターボートに乗って今度はバルトロメ島周辺のボートサファリ。何と、ここにはペンギンがいるのだ。ガイドのウィリアムズが指差す方を見ると、いるいる、確かに3匹の小さなペンギンが岩の上に立っていた。だが南極やオーストラリアで見たペンギンに比べて、小さくて貧弱な感じだし、3匹以外は見当たらない。近くに寄って観察すると、1匹が海に飛び込んで魚を追い始めた。泳いでいる様は敏捷で魚そのものだ。やっと魚を捕まえたと思ったら、いきなりペリカンに横から獲物をさらわれてしまった。かわいそうなペンギン!どうして南極や冷たい海にしか生息しないはずのペンギンが熱帯のガラパゴスにいるのか、これも大きな不思議だ。1つのヒントは、ガラパゴスに来ている海流が分類上は寒流であると言うことだ。極地から長い距離を流れて来る間にかなり温まってしまってはいるが、ここを流れる海流はれっきとした寒流である。だから水温も普通の熱帯の海に比べると5度くらい低い。ガラパゴスの海にサンゴ礁はなく、代わりに海イグアナの主食である海草が豊富だ。熱帯にありながら水温の低い海に囲まれているという事実は、ガラパゴスの特異な動物相、植物相に大きな影響を与えている。

 ボートサファリの後、島に再上陸し、丘のてっぺんまで登って記念撮影をした。すばらしい眺めだった。

 さて、船に戻るとすぐに出航、今度はサンサルバドル島ジェームズ湾を目指す。今日の海はとても穏やかで揺れも少なく、眺めも最高。デッキに座って海風にあたっていると、とてもハッピーな気分だ。左手にはサンサルバドル島の荒れた台地が続く。やがて夕陽が島の向こうに沈む。美しい夕焼けだ。夕食後もデッキに座って心地よい風にあたる。午後8時過ぎ船は目的地に到着し、いかりをおろした。もう真っ暗で何も見えないけど、静かな湾の中のようだ。ふと船べりから海を覗き込むと、何かが海面で光っている。発光プランクトンだ。とても不思議な光景だった。空を見上げると、満天の星空だ。今日は長くてすばらしい1日だった。今夜はこの星空のもと、船べりを打つ水音を聞きながらぐっすり眠ろう。

 

107日 <第5日> アザラシ家族の団欒風景 James Bay (San Salvador) Punta García (Isabela)

 朝食後、モーターボートでサンサルバドル島に上陸。しばらく岩浜に沿って歩くと、海イグアナがたくさんいる。じっと空を見上げたまま動かない。一体何を考えているのか。凍りついてしまったようで、手を目の前でひらひらさせても何の反応もない。時々潮溜まりの中をヒラヒラ泳いでいるやつもいる。面白いやつらだ。じっと見てると飽きない。アザラシもたくさんいた。一つのアザラシ家族をしばらく観察する。岩場の内側の浅瀬で子供たちが遊びまわり、砂浜では母親が赤ん坊に乳をやり、父親は浅瀬の外側を泳ぎまわって威嚇の声を挙げ、外敵から家族を守る。こんな家族団欒の風景を身近で観察するのはとても楽しい。その後岩場の深いプールみたいなところでアザラシの子供たちと一緒に水泳。彼らは人間がたくさん寄って来ても全く意に関せず自分たちで遊びまわっている。すばらしい野生との交流だ。

 船に戻って昼食後、船は出航しイサベラ島めざして進む。大揺れだったのでベッドで寝ていた。夕方やっと到着。夕食後船べりを見ると、また海面がうっすらと光っている。発光プランクトンがいるのだ。とてもロマンチックだった。

 

108日 <第6日> アルセード山登山(イサベラ島)→ Rabida Island

 まだ真っ暗な午前440分起床、5時朝食。今日はイサベラ島のアルセード山登山の日だ。船は登山口目指して進む。6時前には上陸して歩き始める。まだ日は昇らないが空は晴れ渡っており、暑い一日になりそうだ。想像していたのとは違って大地はとても乾燥しており、木もあまり生えていない。やがて日が昇ると本格的に暑くなってきた。日陰もほとんどないので本当に暑く、ペースがけっこう速いので汗がタラタラだ。約1時間半登った所でやっと休憩。高度計は530メートルを指している。さらに40分登って2度目の休憩。高度は800メートル。そこから30分ほどの急登で、やっと尾根にたどり着く。ここはクレーターの淵で、反対側は巨大なクレーターの内側になっていた。高度1040メートル。さすがにここまで来ると吹き上げてくる風は涼しく、日差しは強いがとてもさわやかだ。だがサンタクルス島と違ってここは高度が高くなっても乾燥地帯のままで、木はほとんど生えておらず、乾燥に強いブッシュが茂っているだけだった。熱帯雨林の登山を期待していた私には全くの期待はずれだった。だが、この乾いた大地に、2匹の大きなガラパゴ(ゾウガメ)を発見したのだ。一体こんなところでどうやって生きていけるのか、本当に不思議だ。大きさから考えて、80歳前後と推測される。近寄ると首や手足を甲羅に閉じ込めてしまって出てこない。こうやって野生のガラパゴを見ると、ダーウィン研究所で飼育されているガラパゴがいかに人に慣れているかが良くわかる。我々はしばらくガラパゴを観察し、景色を楽しんだ後一気に下山した。帰りの暑さはまた格別で、陽射しが容赦なくじりじりと照りつけ、登りと同じくらいしんどい下りだった。海辺まで辿りついた時はもうクタクタで頭痛がして最悪。早速海に飛び込んで汗を流す。体力を消耗し、苦労した割には実りの少ない登山だった。見ることの出来たガラパゴは計3匹、まあ、ゼロよりはましか。船に帰還後、3時頃遅い昼食。その後船はラビダ島目指して進み、大揺れの後やっと到着。今夜はここで夜を明かす。

 

109日 <第7日>海亀の交尾は命がけ Rabida Is. Sombrero Chino Tortuga Negra

 今日はいつも通り7時に朝食。その後モーターボートでラビダ島に上陸する。マングローヴの茂った沼があって、ここにフラミンゴが来るそうだが、残念ながら今日は一羽もいなかった。相変わらずアザラシがたくさんいる。島内をちょっと歩いてから船に戻り、今度はChinese Hat(Sombrero Chino)と呼ばれるサンサルバドル島東南部の小島へ。ここでしばらくアザラシといっしょに海水浴を楽しんだ。昼食後、船はサンタクルス島北部のTortuga Negra(トルトゥーガ・ネグラ)へ。ここには海亀がたくさん集まっているのだという。マングローヴがうっそうと茂っており、その内側は波もなく沼地のようで、海亀にとっては絶好の生育環境なのだ。早速モーターボートに乗って亀を探しに行く。船のモーターを止めてじっと水面下を観察していると、いるいる、たくさんの海亀があたりを泳ぎまわっている。でも、なかなか水面に顔を出してはくれない。しばらく観察していると、2匹の亀が交尾を始めた。ところが、そこにさらに2匹のオスガメがやって来て、交尾をしている2匹の亀を邪魔しようとするのでもう大変。交尾をしている亀に噛み付いたり、もつれ合って大変な騒ぎだ。海亀のカップルにはかわいそうだが、なかなか面白い光景だった。この日船はTortuga Negraで夜を明かす。最後の晩なので、みんなでラム酒で乾杯した。

 

1010日 <第8日> クルーズ最終日 Tortuga Negra Daphne Seymour Norte Puerto Ayora

 クルーズ最終日だ。5時半起床。朝食前の午前6時、モーターボートに乗ってダフネ島に上陸。この島は海からいきなり付き出ていて砂浜もなく、ボートから岩に飛びつくようにして上陸する。巨大な海中火山の上の一部分だけ水面上に出ている感じで、島全体がボルケーノの頂上のようで内側が火口になっている。この島は鳥の楽園だった。島全体がマストブービーやブルーフットブービー(青足カツオドリ?)のコロニーになっていて、卵を抱いている鳥も多い。彼らは全く人を恐れないので、すぐそばまで近づいてじっくり観察できる。中には通路の真中に座り込んで人が近づいても除けようともしないやつもいて、みんな注意深く避けながら歩く。船に戻って朝食後、今度はSeymour Norte島に上陸。この島にはグンカンドリがたくさんいる。ちょうど繁殖期にあたり、オスが喉もとの真っ赤な袋をいっぱいに膨らませ、変な音を立ててメスを呼ぶ様をつぶさに観察できた。さて、この島を最後に78日に及ぶクルーズもおしまい。10時半頃船はサンタクルス島プエルト・アヨラ目指して出発。午後3時前には到着し、残金を支払って無事上陸。固い大地の上の生活に戻れてうれしい。民宿グローリアに戻って、早速真水のシャワーを浴びてさっぱりする。夕食はみんなでイタリアンレストランに集まって打ち上げ。さらにバーでビールを飲みながら2次会。一生の思い出に残る、すばらしい一週間だった。 

 

1011日 巨大な溶岩トンネル

 クルーズに同行した川村氏は今朝のフライトでエクアドル本土に戻ったが、私はせっかく高い航空運賃を払ってガラパゴスまで来たのだから、あと数日ゆっくりしていくことにした。今日はやはりクルーズでいっしょだったデンマーク人のビリット・レゲと一緒に、溶岩トンネルを見に行くことにする。お昼のバスに乗って内陸部の部落Bella Vistaへ。そこから徒歩10分?程の所に、その溶岩トンネルはあった。入場料900スクレ(110)を支払って中に入る。親切なおじさんが番をしていて、いろいろ説明してくれた。トンネルはまるで人間の手で作られたもののようで、こんなものが自然に出来たなんて驚きだ。帰りは途中まで歩いて、トラックをヒッチして帰った。

 

1012日 野生のガラパゴ(ゾウガメ)

 ビリット・レゲと一緒に、野生ゾウガメ保護区に行って見ることにした。8時半過ぎの空港行きバスに乗り、Santa Rosa部落で下車(30)。ここから人に道を聞き聞き、細い道を歩いて行く。あたりは牧草地になっていて、牛がたくさんいる。緑が広がり、正面には海が望め、とても美しい風景だ。1時間ほども歩いたろうか、牧草地の中に大きなガラパゴ(ゾウガメ)を発見。よく見ると、あたりに何匹かいる。早速接近して観察。彼らはダーウィン研究所で飼育されていた亀と違って、とても臆病だった。我々が近づくと、首を甲羅の中に引っ込めて後ろ足をピンと立て、防御の姿勢をとる。何匹かの亀に接近してじっくり観察した。こんな人里にも近い牧草地に、野生の巨大なガラパゴがいるなんて驚きだった。辺りは緑の牧草地の向こうに海が広がり、涼しい風が吹いて、実にすばらしい風景だ。1時間くらいゆっくりした後、もと来た道を帰る。途中でもまた何匹かのガラパゴを見た。ダーウィン研究所の亀よりも大きな、大長老もいる。結局全部で13匹のガラパゴを見ることが出来た。

午後1時のバスで街に戻って、午後は日本に手紙を書いた。有意義な一日だった。

 

1013日 フラミンゴ

 朝食後、クルーズのメンバー7名が集まって、Tortuga Bay(ウミガメ湾)まで海水浴に行く。ビリットたちの提案で、そのさらに奥にある沼地まで、フラミンゴを見に行くことになった。たまたま通りかかった公園レンジャーのおじさんが案内してくれた。溶岩台地の上を注意深く歩くこと1時間弱、いたいた、フラミンゴが5匹、沼地で餌をあさっている。全身むろんピンクで、パタゴニアで見たのよりは大きい感じがする。あまり接近は出来なかったけれど、クルーズで見ることが出来なかっただけにうれしかった。砂浜に戻った後は水泳と日光浴。のんびりして6時頃民宿に戻った。明日はいよいよガラパゴスともお別れだ。夜はクルーズのメンバーが集まってバーで最後の打ち上げ。

 

1014日 さようならガラパゴス

 朝食後、ビリット、レゲ、トーマス、アニタとともにバスで空港に向かう。空港についたのはもうお昼頃だったが、ここで意外な事実を知らされる。何と今日は満席!たまたま今日大型クルーズ船が予定を変更してここに入港し、ツアー客がみな帰るらしいのだ。いつもはガラガラの飛行機が、今日に限って・・・。数日前航空会社のオフィスへ行って予約を入れようとしたのだが、たまたま航空券を忘れてきて出来ず、当日直接空港に行っても大丈夫といわれてそのままにしていたのだ。悪いことは重なるものだ。カウンターで粘ったが本当にダメらしいので、既にチェックインを済ませた4人に別れを告げ、プエルトアヨラに戻りかけた。だが、やはり飛行機が行ってしまうまではあきらめきれないと思い、もう一度カウンターに行って見ると、係員がこっちへ来いと手招きしている。最後の一席が残っていたのだ!しかし機内食はないという。構わない!何という幸運だろう。私の前にやはり予約無しで来たドイツ人のカップルは乗れずに帰ってしまったのだ。離陸寸前の飛行機に後ろから乗り込む。機はあっという間に離陸し、16日間滞在したガラパゴスを後にする。本当に、一生忘れられない体験だった。世界のあちこち旅行してきたけど、ガラパゴスのような所はどこにもない。ゾウガメや、ペンギンや、アザラシや、海イグアナ、陸イグアナ、その他様々の動物たちが、これからも平和に暮らして欲しい・・・。そう願いつつ、現代地球に残された数少ない野生のワンダーランド、ガラパゴスを後にしたのだった。

 飛行機は順調に飛行を続ける。係員に言われた通り、私には機内食があたらなかったが、たまたまそばに座ったカナダ人のおばさんが、幸運にも()お腹の調子が悪く、機内食は一切食べなかったので、私がその分け前にあずかることが出来たのだった。彼女の夫は旅行会社に勤めていて、今回は2人でエクアドル政府観光省に招待されガラパゴスクルーズに参加したのだと言う。思い出に残るすばらしい航海だったと、まだ興奮が冷めない様子だった。

 さて、機は1時間半ほどでグアヤキルに到着。ビリットやレゲたちと感動の再会。私が貨物室に乗ってきたと言うと、2人とも信じてびっくりしている。冗談だと言うとかなり受けていた。機はさらに30分ほど飛んで首都キトーへ到着。南米大陸の旅はまだまだ続く。()

 

<ガラパゴスクルーズの基本的出費> (91年現在)

キトー・ガラパゴス往復航空券(TAME航空):学割で312ドル。(通常は374ドル)

国際学生証を持っていれば、誰でも学割運賃になる。グアヤキルからも往復でき、運賃も少し安くなるが、治安が悪いのであまりお勧めできない。

クルーズ7日間費用:294ドル(食事付)。11人当り4050ドル程度とのこと。

ガラパゴス国立公園入場料:40ドル。(翌年から80ドルに値上げとのうわさだった)

ガラパゴスの物価はエクアドル本土の2倍くらいですが、それでも日本の3分の1くらい。プエルト・アヨラは、とてものんびり出来るところです。ビーチもきれいだし、クルーズの前後に数日間のんびり過ごすことをお勧めします。

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