『世界遺産』サン・アグスティン遺跡とコロンビア写真館　Picture Gallery of San Agustin & Colombia

『世界遺産』サン・アグスティン遺跡とコロンビア写真館

「サン・アグスティン遺跡は古代人が我々に残してくれた、素敵な屋外彫刻美術館だ」

世界中にコロンビアほどそのイメージが誤解されている国は少ないと思う。ドラッグマフィアと反政府ゲリラが国中を闊歩し、ほとんど無政府状態の国と思っている人も多いのではなかろうか。このような先入観を抱いてこの国を訪れた人は、コロンビア人の人懐っこさと人情の濃さ、そして秩序だった日常生活が営まれていることに、新鮮な驚きを覚えるに違いない。確かに日本よりずっと犯罪は多いし、東部のジャングルでは反政府組織との内戦も続いている。しかし大部分の人々が誠実・親切であり、普通の人々が普通の生活を営む国であることは、日本もコロンビアも変わりがない。

コロンビアが中南米諸国の中でも特にフレンドリーで親切な人の多い国であることは、この国を訪れた多くの外国人が実感していることだ。私自身、旅行中多くの人々と知り合い、会話する機会に恵まれ、今でもそれはいい思い出として残っている。さらに、コロンビアの自然もまたすばらしい。数千メートル級の山々が連なり、深い緑の森林やプランテーションが延々と続く。世界遺産のサン・アグスティン遺跡やカルタヘナ市をはじめ、スペイン植民地時代の面影を残した美しい街並みや、カリブ海の島々など、観光資源にも事欠かない。

ここでは、日本であまり知られていないコロンビアの魅力を、写真で紹介したいと思う。

『世界遺産』サン・アグスティン遺跡　San Agustín, Patrimonio de la Humanidad

　ペルーのインカ文明、メキシコのマヤ文明やアステカ文明など、中南米には有名な古代文明が多いが、コロンビアにもかつてすばらしい古代文明が栄えていたことをご存知だろうか。だがこの文明の担い手がどのような人たちで、どこから来て、どこへ行ってしまったのか、詳しいことはまだ何もわかっていない。だが我々は、彼らが残したすばらしいモニュメントの数々を見ることが出来る。この文明が栄えたのは、今から千数百年前のことであるらしい。インカ帝国の時代より千年も古いし、日本は飛鳥時代だ。いったいどんな人たちがこの奥深いアンデス山中でこのすばらしい文明を開花させたのか、なぞは深まるばかりだ。

　サン・アグスティン遺跡はコロンビアの首都ボゴタから南西へ530キロ、標高約1700メートルの山中にあり、1995年ユネスコの世界遺産に指定された。高原なので気候は涼しく、緑豊かで景観もまたすばらしい。モニュメントは部落の中心から3キロほど離れた遺跡公園のあちこちに点在しているほか、郊外にも分布しており、バスツアーや乗馬ツアーなどを利用してゆっくり見てまわることが出来る。これら彫像群はこれを作った人々にとっては神々であり、宗教儀式が執り行われた場所と考えられるが、そのユニークな芸術性と彼ら古代人のイマジネーションの多彩さには驚くばかりだ。まさに、ここは古代人が我々に残してくれた、素敵な屋外彫刻美術館といえる。では、『サン・アグスティン人』が残したすばらしい彫刻の数々を、ゆっくりとご覧ください。