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エジプト/ファラフラ・オアシスの砂漠と温泉ツアー

 

 エジプトといえばピラミッドやスフィンクスなどの遺跡ばかり有名だが、砂漠に点在するオアシスの美しさとそこを基点にした砂漠体験ツアーが最近脚光を浴びている。われわれ日本人にとってさらにうれしいことは、これらのオアシスではあちこちに温泉が湧き出ているのだ。砂漠に輝く満天の星空を眺めつつ、露天風呂に浸かってビールで乾杯、なんてことが、この異国の地、エジプトで可能なのである。

 では、私がエジプトで体験した砂漠ツアーを写真と旅行記で紹介したい。

 

 

典型的なオアシスの風景。ナツメヤシがたくさん茂っている。子供たちはとてもフレンドリーだ。(バハリヤ・オアシスにて)

 

 

ファラフラ・オアシスからの砂漠ツアーに参加した。ファラフラはカイロからバスで10時間ほどの、小さなオアシスの町だ。道路がひどいので、バスの車内まで砂塵で真っ白になる。

ファラフラでは、この地の有力者、サード氏が近郊の砂漠や景勝地へのツアーをほぼ独占的に行っているようだ(ロンリープラネットのガイドにも彼の名前が出ている)。バスを降りると、彼の家の人がちゃんと客引きに来ていた。バスに同乗していた韓国人バックパッカーの姉妹とともに、1泊300円の安宿にチェックイン後、サード氏宅で砂漠ツアーについて話をする。サード氏の言い値は、1泊2日のツアーで1人150エジプトポンド(約45ドル)、3人で450ポンド(約135ドル)だった。もちろん、われわれは値切りにかかる(ここはエジプトだ!)。ところが、サード氏はおそらくこのファラフラ・オアシスで砂漠ツアーをしている唯一の人物と思われ、競争がないためか、なかなか値引きに応じてくれない。エジプトの物価では1人150ポンドは非常に高いと思われたので、我々はにこやかに、しかしタフに値切りを試みた。これ以上安くならないようなら別のオアシスに行ってツアーに参加するかもしれないなどとまで言って(無論ハッタリだが)粘った挙句、一人110ポンド(約33ドル)、三人で330ポンド(約100ドル)まで値切ることに成功した。

値切りはしたものの、双方合意して明日ツアーが出発することが決まると、我々はもうサード家のゲストということになり、その日の夕食も彼の家でご馳走してくれた。

翌日、朝食・昼食もサード氏宅でご馳走になった後、午後3時ごろツアーに出発。運転手はハムディーさん、車はランドクルーザーだ。まず、砂丘に登って砂漠の景観を楽しむ。見渡す限り、砂、砂、砂・・・。本当に広い。子供の頃からイメージしていたのと同じ、砂丘が連なる「本当の」砂漠だ。

 

 

 

 

 

 

 砂漠の広大な景色にみとれた後、’Magic Spring’と呼ばれる泉へ案内された。見渡す限り何もない砂漠の真ん中にぽつんと1本椰子の木が生えていて、そこから水が湧き出ている。ローマ人が作った井戸なのだという。不思議なのは、この泉が周りの砂漠より高いところにあることで、見渡す限り山も見えない。なのに、泉からはこんこんと水が湧き出ている。本当にマジックのようだ。何もない砂漠のど真中に1本椰子が生えているだけというこの風景も、子供の頃からイメージしていたオアシスの風景と同じではなかろうか。

 野営地に着いたのは、もう暗くなってからだった。幕を広げ、布を敷けばもう野営準備の出来あがりだ。ハムディーさんたちが焚き火を起こして、ローストチキンの夕食を作ってくれた。夕食後、ハムディーさんたちが笛を吹き、太鼓を叩いて歌を歌う。ふと見上げると、頭上は満天の星空。そして砂漠の夜は更けていった。

 

 

 

 

 翌朝、キャンプを撤収しているところ。

 

 

 

 奇妙な岩山が連なる、不思議な光景。(名前は忘れてしまった)

  

 

 砂漠の真中に、湖があった。

 

 

 そして締めくくりは、この露天風呂。人家から離れていてほとんど人も来ないので、水はとてもきれいで湯加減もちょうどいい。湯船から砂漠の平原を見渡すことの出来る、最高のロケーションだ。

 

 

 

 

  こうして砂漠の露天風呂を満喫してから、ファラフラに戻ったのでした。

 

<撮影:1996年1月>

 

 このように、エジプトは遺跡だけの国ではなく、砂漠のオアシスで興味深い体験をすることが出来ます。カイロからファラフラなどのオアシスの町を経由してルクソール方面に抜けることも出来るので、エジプトに行かれる方はぜひ砂漠のオアシスに立ち寄り、満天の星空を眺めて、太古の昔に思いを馳せてほしいと思います。

 

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