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チチカカ湖写真館

 

チチカカ湖は南米アンデス高原の標高約3800メートルに位置し、面積は8300平方キロ、琵琶湖の約12倍という巨大な湖だ。ボリビア・ペルー2カ国にまたがっており、湖上には約40の島がある。

 富士山より高いところにこれだけ巨大な湖があるというのは驚きだ。湖の周囲には5,000〜6,000メートル級の白い山々が連なり、景観もまたすばらしい。

 チチカカ湖周辺や湖上の島で暮らすアイマラ族の人々は、段々畑で作物を作り、数百年前から伝わるインカの伝統をかたくなに守って暮らしている。

 ここでは、そんなチチカカ湖のすばらしい風景を、湖上に浮かぶ二つの島、『太陽の島』と『タキーレ島』の写真を中心に紹介したい。この二つの島には電気、水道、道路や車さえなく、まるでインカ時代にタイムスリップしたような錯覚に陥るほどだ。ツアーなどで訪れると日帰りで島巡りをすることが多いが、チチカカ湖の本当の魅力に触れたいなら、ぜひ二つの島で夜を明かしてみてほしい。民宿に泊まるので島民の暮らしを垣間見ることが出来るし、電気もない家でろうそくの光で夜を明かし、満天の星空を眺めれば、太古の昔から連綿と続く神秘の湖チチカカ湖の胎動を感じ取ることが出来るかもしれない。

 

 

『太陽の島』(ボリビア)

 

ボリビアのチチカカ湖畔の町、コパカバーナ。湖で獲れる『鱒』が特産品で、町のレストランではどこでもおいしい鱒料理を食べさせてくれる。

 

 

 

『太陽の島』へ行く小船の乗り場。これは本来現地人専用で、外国人はボートをチャーターしなければならないそうだが、頼んで乗せてもらった。運賃は片道1人たった200円。ボートをチャーターすると往復で6000円もするという。

 

午後1時40分出発。

 

 

太陽の島へ行く小船の船上にて。

 

アンデスの白い峰々(ジャンプー峰)も望まれる。

 

 

太陽の島の船着場。午後3時過ぎに到着。部落は丘の上にあるので、急な小道を歩いて登らなければならない。酸素が薄いので荷物を背負って登るのは大変だ。休み休みで30分くらいかかった。島には車などないし、道路もない。インカ時代そのままの静かな暮らしが営まれている。

 

宿のベランダからの風景。紺碧の湖と白いアンデスの山々のコントラストがすばらしい。

 

 

泊まった民宿のバルコニーで記念撮影。こんなすばらしい景色を独り占めだ。

 

 

近くの小学校の校庭で、たまたまお祭りが行われていた。観光客も全くおらず、村人たちの普段着の姿に触れることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、歩いて島内探検に出かける。

 

 

段々畑が広がるこの風景は、数百年間変わらぬままだろう。

 

船着場を上から見下ろす。この急斜面を酸素が薄い中、荷物を背負って歩いて登らなければならない。

 

 

 

 

翌朝、宿のおじさんのボートをチャーターしてコパカバーナまで送ってもらった。チャーター料は約2000円(2人だったので1人千円になった)。町のレストランでボリュームたっぷりの鱒定食を食べる。250円で腹いっぱいになって大満足。

 午後2時発のペルー・プーノ行きバスに乗り込む。湖を眺めつつ快適なドライブだ。国境で出入国手続きを済ませ、午後4時半(ペルー時間なのでボリビアより一時間遅い)、プーノ着。

 

 

『タキーレ島』(ペルー)

 

 翌朝、タキーレ島行きの船着場まで歩いていく。午前8時に出るという話だったが、実際に出発したのは9時頃だった。運賃は往復約千円(外国人料金だ)。始めのうちはいい船旅だったが、だんだん波が出てきて気分が悪くなり、船底に横になる。もどしそうで最悪の気分。3時間の忍耐の末やっとタキーレ島に到着。例によって部落は山の上なので、重い荷物を背負い、休み休み登る。酸素が薄く気分も悪かったので、1時間以上かかってやっと部落の入り口まで辿り着いた。ここで入島料30円と宿泊費100円を支払い、民宿のおばさんに今日の宿まで連れて行ってもらう。

 普通の民家なので大変ベーシックな宿だったが(水道も電気もなく、厠は外の畑の中)、部屋のベッドには島特産の織物が敷き詰められており、なかなか快適だった(やはり寝袋を持って行ったのが良かった)。食事は家の人が鱒のフライを作ってくれた。また、島特産の織物を買うことを勧められたが,まだ旅が長いので買うことができず残念。暗くなると、家の人がろうそくを持ってきてくれた。外は満天の星空で、インカの時代と少しも変わらぬ、静かな夜が更けていく。

 

タキーレ島に渡る小船にて。

 

翌日朝、タキーレ島の風景。段々畑で耕作が行われている。

 

山のてっぺんに遺跡があった。

 

眺めは最高。

 

 

 

食堂で昼食後、午後2時半の船でプーノに帰った。

 

翌日、アンデス高原列車に乗ってクスコを目指します。その写真と旅行記は「クスコ、マチュピチュ、アルティプラーノ写真館」をご覧ください。

 

<撮影:1991年6月>

 

 

太陽の島とタキーレ島での宿泊体験

 

太陽の島、タキーレ島と、チチカカ湖を代表する2つの島を訪れたが、特に印象深かったのが太陽の島だ。全く観光化されておらず、島へ渡る船を探すだけでも大変だった。なぜなら外国人はボートをチャーターしなければならないなどと言われるからだ。だが結局地元の人が乗る小船を見つけて乗せてもらうことが出来た。島には泊まれるところが一箇所だけあり、そこは看板もなくて『カサ・ブランカ』(白い家)と呼ばれる白いペンキ塗りの民家だった(1泊1人240円)。2階の部屋にはベッドと毛布1枚しかなく、寝袋を持って行ったのが正解だった。高地の夜は本当に冷える。電気や水道もないが、食事は宿の主人がごく簡単なものを作ってくれた(目玉焼き、フライドポテト、ライス、スープで120円)。だがこの宿は私がこれまで世界80カ国を訪れた中でも、最高のお気に入りのひとつだ。2階の部屋からベランダに出ると、真っ青な湖と、遠くにそびえるアンデスの白い峰々が一望のもと。何時間眺めていてもあきないような、すばらしい風景だった。ここでは電気も水道も車もない、タイムスリップしたような静かな島の生活を十分に堪能できる。もう10年以上前の話だが、今はどうなっているのだろう。(どなたか最近この島で泊まった方がいましたら、どうなっていたかぜひお教えください)

 ボリビア領内の太陽の島に比べて、ペルー領内のタキーレ島は、観光客をもっと積極的に受け入れている。島内で宿泊希望の観光客は、入島時に島民組合で民宿を一軒割り当てられる(1泊100円程度で値段が決まっており、場所は自分で選ぶことは出来ない)。普通の民家に泊まることになるのでやはり大変ベーシックな宿だが(水道も電気もない)、島民の生活を垣間見ることが出来て興味深い。食事は家の人が鱒料理など200円くらいで作ってくれる。どこの家でも特産の織物を作っていて、買うことを勧められるだろう。観光は今では島民の重要な収入源になっているようだ。

 チチカカ湖を訪れただけでなく、この2つの島で夜を明かしたことは大変すばらしい経験だった。こんなタイムスリップしたような場所は世界中にそうあるものじゃない。皆さんももしチチカカ湖を訪れるなら、この2つの島でゆっくりと夜明かしして、インカの昔に思いを馳せてほしいと思います。

 

クスコ、マチュピチュ、アルティプラーノ写真館へ

 

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