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石狩通信第1ページ #1〜#10018月〜11月)へ

石狩通信第2ページ(20021月〜6月)へ

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石狩通信第3ページ(20027月〜2003年12月)

 

私たちは北海道札幌市の郊外に住んでいます。初夏にはカッコウの声も聞こえ、遠くに暑寒別の山並みを望み、四季の移り変わりを身近に実感できる所です。この「石狩通信」は、不定期に様々なトピックで友人宛てにメールしている全く個人的なものですが、ここで公開することにしました。国際情勢に興味のある方や、札幌周辺にお住まいでアウトドアーの好きな方には面白いかもしれないので、おひまなときにでも読んでみて下さい。

 

 

 

#18 2002816日 本州旅行のお話とホームページの宣伝

 

残暑お見舞い申し上げます。ご無沙汰しておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今年の北海道の夏は天候不順で、涼しい日が続いています。当地札幌では結局30℃を超える日は一日もなく、このまま秋に突入しそうな雰囲気です。

さて、私事ですが、6月下旬から7月上旬にかけて妻の両親がロシアより来日し、一緒に車で東京、奈良、京都、白川郷、高山をまわりました。天候にも恵まれ、日本の美を再発見する旅でした。特に関西の田舎などではどの家々も日本庭園を持っていて、とてもきれいにしているのが印象的でした。また、車で偶然通った名もない村の名もない神社が(といっては失礼ですが)とても美しく、感動したりもしました。(後で調べたら、奈良県山添村北野の『天神社』という神社でした。)北海道と違って、伝統文化が日常生活の中に息づいているなぁと感じました。ちょうどアジサイの季節で、奈良県大和郡山市郊外の矢田寺(あじさい寺とも呼ばれる)のアジサイが特に見事で、印象に残っています。
また、岩舟寺という山寺も印象的でした。(写真参照)

話題は変わりますが、この程新しいホームページをUPしましたので、ちょっと宣伝させていただきます。これまで私が訪問した約80カ国の中で、最も印象深かった国のひとつ、イエメンについて、その歴史、見所、写真などをまとめてみました。イエメンは『幸福のアラビア』と呼ばれ、今から三千年近くも前、『海のシルクロード』時代にシバの女王が統治していた国です。観光資源も豊富ですが、残念ながらあまり知られていません。この国について少しでも多くの方に知っていただきたいと思い、このホームページを作成しました。お時間のあるときにごらんいただければ幸いです。

http://www9.plala.or.jp/sekai80/yemen/index.html

では、毎晩盆踊りの太鼓が鳴り響く晩夏の北海道より、今回はこの辺で失礼します。

写真1: 明治神宮の菖蒲園
写真2: 岩舟寺
写真3: 京都のお寺
写真4: 白川郷

 

 

 

 

19 20021111日 『戦争中毒』

お久し振りです。まわりの山々も既に真っ白になり、一部スキー場もオープンして、北海道は冬に向かってまっしぐらですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて、先日私信でアメリカ人反戦活動家アンドレアス氏が書いたコミックブック戦争中毒のご案内をしましたが、私も早速英語版を買って読んでみました。とても面白かったので、日本語版も発売されたのを機会に、皆さんに再度強くお勧めする次第です。皆さん次のようなことをご存知でしたか?
・米国の軍事予算は連邦予算の半分以上。
・米国の主要メディアは全て大企業の所有物。
1990年の湾岸紛争で、米国は約15万人のイラク人を故意に殺害した。
・現副大統領のチェイニー氏は、長年軍需企業の重役を務め、政府とのつながりに
よって巨額の生産契約をもたらし、その功で毎年何百万ドルもの報奨金を受け取って
おり、典型的な戦争成金で『死の商人』と言える。(このような人が副大統領なの
は、ブッシュ政権の性格を象徴していると言えるでしょう)
などなど、アンドレアス氏の主張は、なぜ米国がいつも戦争を求め続けなければならない体質なのか、様々な事実や証拠、証言などを題材にして、実に論理明快、説得力を持って迫ってきます。また、昨年の同時多発テロとその後の政府の対応にも新たに多くのページをさいています。今米国が画策している対イラク戦争も、理由などこじつけに過ぎず、『まず戦争ありき』のスタンスであることをよく理解できると思います。本当に『目からうろこ』の本なので、皆さんもぜひ読んでみてください。マンガ本なので気楽に読むことができます。英語版も努めて平易な英語を使っており、高校生レベルの英語で読解できる内容です。以下にその案内を再びコピーします。

.「戦争中毒ーアメリカが軍国主義から脱け出せない本当の理由」
   (ジョエル・アンドレアス著/きくちゆみ監訳)
   
戦争をなくしたい、平和な地球を創りたいという方、お待たせしました!
ジョエル・アンドレアスの描いた痛快なコミック「戦争中毒」がついに日本語版で出版の運びとなりました。これまでたくさんの方から、「早く日本語で読みたい」と言われていましたが、来月中旬、合同出版から発売、全国主要書店に並びます。翻訳は、Open Japanのメールニュースでの呼びかけに応じてくださった有志の方々ががんばりました。この場を借りて、お礼を申し上げます。どうもありがとう。

アメリカが戦争をするのは、正義のため、民主主義のため、自由のため??
いえいえ、違います。まずこの本を読んで下さいね。

出版サポーターになりませんか?
平和の声を大きくするために、日本語版『戦争中毒』を普及する「出版サポーター」を募集します。10冊で1万円、税・送料込みです。ご希望の方は、1口につき1万円を
郵便振替で「ハーモニクスライフセンター: 00110ー1ー144224」へ。
*通信欄に必ず「戦争中毒出版サポーター x口」と明記のこと。
*日本語版の発送は10月10日以降になります。

きくちゆみ
ーーーーーーーーー
マンガで好戦主義者を笑っちゃえ!
米国で4月に刊行、大反響!
待望の日本語版の翻訳完了! 10月中旬刊行

「戦争中毒−−  
   アメリカが軍国主義から脱け出せない本当の理由」

B5判/72ページ
本体価格1300円(+税)
発行:合同出版株式/TEL0332943506 FAX0332943509

ジョエル・アンドレアス(米国の漫画家・反戦活動家)【著】
きくちゆみ【監訳】     
環境・平和活動家、通翻訳者。グローバルピースキャンペーン発起人。
ハーモニクスライフセンター主宰。著書「バタフライ」「地球と一緒に生きる」他
翻訳グループ:グローバルピースキャンペーン有志
校正:今村和宏、坂野正明、森田玄

戦争好きを治す最良の治療薬!
「最高の政治漫画。辛らつなほどに面白い。アメリカ軍国主義・外交政策・貪欲な企業、この三者の国内外での結びつきを知りたいと思うあらゆる年齢層に勧める。」
マイケル・パレンティ(歴史家)
「『戦争中毒』は、アメリカの対外政策の本質と、それが我々国民にどのような影響を及ぼしているのか理解することに関心あるすべてのアメリカ人の必読書である。」
マーティン・シーン(俳優)
「道をたずねに庭に入ってきた侵入者を殺す。石油の利権が守られなければ攻撃。景気が悪ければ戦争を! アメリカって、そんな国なの? ロックンロールを産み出したアメリカは大好きな国だったのに……。今のアメリカは大嫌いだ。なぜ? の答えがここにあります。」湯川れい子さん(音楽評論家)
「世界人口の4.5%を占めるだけの米国は、そのアメリカ流の暮しぶりを維持するために世界中の資源と文化を傲慢にも強奪している。『戦争中毒』は、アメリカがその恥ずべき消費スタイルを満足させるために、なぜ戦争に依存する必要があるのか説明してくれる」ブライアン・ウィルソン(ヴェトナム復員兵、反戦活動家)

登場人物はすべて実名、その発言はすべて実録!目からウロコが落ちる衝撃のアメリカの反戦マンガ!

戦争中毒の内容は、こちらでご覧下さい(英語)
www.addictedtowar.com

原本の英語版『戦争中毒』は、「ハーモニクスライフセンター」で購入できます。
一冊につき1500円(送料込み)を郵便振替で振り込んでください。
郵便振替「ハーモニクスライフセンター 00110ー1ー144224」
*通信欄には、「戦争中毒」(英語)x册」と明記のこと。
*振込み確認後、2日後の発送です。

 
では皆さん、お元気でお過ごしください。

 

20 2002122日 拉致事件を考える

北朝鮮による拉致事件は、許せない国家的犯罪である。このことに疑問の余地はない。だが、昨今の日本政府の対応とマスコミの報道ぶりに、疑問を抱いているのは私だけだろうか。

まず、はっきりさせておかなければならない。この事件は北朝鮮の独裁政権が引き起こしたものであり、朝鮮や韓国の一般大衆とは全く関係ないことだ。在日朝鮮人に対する嫌がらせなどが起きているということは、日本人として恥ずかしいことである。このような事をする人々を、許してはいけない。

次に、日本が朝鮮半島をかつて植民地化し、数え切れない人々を強制的に日本へと『拉致』し、強制労働や慰安婦として使役した事実を忘れてならない。つい最近、札幌市内のあるお寺で戦時中強制労働に使われ死亡した朝鮮人たちの遺骨がたくさん発見された。遺骨は全て一つにまとめられてあり、誰の物なのか全くわかっていない。遺骨を粗末に扱うのは、何も北朝鮮の専売特許ではなかったのだ。昨今のマスコミ報道を見ていると、戦前日本の国家犯罪(この拉致事件とは比べ物にならない程巨大な犯罪だ)をすっかり忘れ、北朝鮮非難に終始しているように見える。確かにこの拉致事件は現在進行中で、許しがたいものではあるが、自国のかつての犯罪を棚に上げ、一方的に相手を非難する姿勢から、真摯に解決しようとする意図が伝わるだろうか?

北朝鮮は、世界で最も人権が蹂躙されている独裁国家の一つであり、金正日が非情な専制君主であることは間違いない。だとすれば、このような非道な国家から、出来るだけ多くの日本人や、日本への帰還を希望するかつての在日朝鮮人たちを救い出すことが、人道上の見地から最優先されるべきではなかろうか。拉致被害者は十数人にとどまらず、数十名いるというのが、一般的な見方だ。既に所在が明らかになった拉致被害者の家族は大丈夫としても、所在の明らかになっていないその他の拉致被害者はどうなってしまうのだろう。日本政府の強硬姿勢は、この人々をさらに危険に追いやっているのではと危惧せざるを得ない。

例えば、日本国内で誘拐事件があれば、警察は報道管制を敷き、犯人を刺激せずに被害者の安全を第一に考えるだろう。まだ人質が犯人の元にいるのに、むやみに犯人を非難する報道をして犯人を刺激するだろうか? 今の日本政府と報道機関がやっているのがこれと同じことなのだ。もし、日本政府が最初から北朝鮮と秘密交渉をし、日本に戻る拉致被害者の氏名など一切公表せず、『身代金』(=経済援助)と引き換えに出来るだけ多くの拉致被害者を、秘密裏に救出する方針で臨んでいたなら、もっと多くの人が助かったのではないかと、考えざるを得ない。

『拉致被害者を犯人のもとに返す必要はない』という考えは、確かに考えとしては正しい。だが、拉致被害者はこの人たちだけではなく、まだ多くの『人質』が残っているに違いないということ、その人たちをいかにして無事救出するかということを考えたとき、果たしてこの判断は正しいものだったのか、疑問に思えてならない。むろん、今も交渉は継続中だから、この先の事はわからない。出来るだけ多くの人々が救出されるよう、心から祈ってやまない。

 

21 200314日 新春小樽の風景・食器洗い機の勧め

 

新年休暇もそろそろ終わろうとしていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今年もまたうるさいメールが時々届くかと思いますが、どうかご辛抱くださいますよう、本年も宜しくお願い申し上げます。
(今回は軽い話題ですので、ご安心下さい。−笑−)

 さて、北海道では寒いながらも穏やかな新年を迎えました。2日の日は小樽の町を散歩し、小高い丘の上にある水天宮という神社に行ってみました。ここは木立の間から小樽港を望むことができ、いつも静かなので私の好きな場所の一つです。この日も初詣の人がちらほら訪れる程度で、境内はとても静かでした。写真を添付します。(1.水天宮 2.境内から小樽港を望む)。その後小樽丸井デパートの初売りを覗いてみましたが、札幌と違って人も少なく、ちょっとさびしい感じでした。でもこの寂れた感じが小樽の魅力でもあるのですが。
 
 話題は全く変わるのですが、我が家では2ヶ月ほど前から食器洗い機を使っています。私もかつては食器洗い機などムダな贅沢品だと思っていたのですが、NHKの番組で実は省エネ・省コスト効果があると知り、買ってみたのです。実際使用してみて、なかなか便利な製品であることがわかりました。水槽に貯めた水を電気ヒーターで温めて循環させて洗うので、水を流しっぱなしで洗う必要がなく、水をかなり節約できるそうです。また、手洗いでは不可能な70から80度のお湯で洗うので、食器がとても清潔に洗い上がります。水の冷たい冬場、ガス湯沸し機のお湯を出しっぱなしにして食器を洗っているような方は、食器洗い機を使えばかなりの節約になるみたいです。(数年で食器洗い機購入費のモトが取れるとのこと)。電気屋で買えばかなり高いのですが、ネット販売専門の横流し業者で買えばかなり安くなります。私は、
http://www.kakaku.com/sku/price/syokkiarai.htm
のサイトで探して、PCトラストという店から、東芝のDWS-50DWを送料込み3万円で買いました。(安いですが、むろん新品で保証もついてます。ヨドバシなどで5万円で売っている機種です)。5人用とのことですが、11回動かすなら2人で使うのにちょうどいいです。使い勝手もなかなかいいと思います。据付は、別に業者に頼まなくても自分でできます。水道とつなぐ『分岐水栓』が通常必要になりますが、これもネットで購入しました。これがけっこう高くて、9000円したために総費用は約4万円になりましたが、それでも電気屋で買って据付も頼むより23万円くらい安くなります。工具は100円ショップで揃います。大きな鍋等は入りませんし、皿洗いが完全になくなるわけではありませんが、負担がかなり減るので特に忙しい方にはお勧めです。

 以上、新年早々つまらない話ですいませんでした。皆様お元気で。

 

 

22 2003417日 戦争の痛み理解できない政治家たち

『戦争がうまく終わって良かったねぇ。』こう言ってにこやかに米国政府高官と握手
する塩川財務大臣の姿が先日のテレビに映し出された。これを見て私は思わず絶句し
てしまった。これだけ多くの人々が亡くなったのに、『うまく終わった』だなん
て…。数万人にのぼるイラク人死傷者、そして数十万人になるだろう犠牲者家族の悲
しみに思いを致すことが出来ないのだろうか。塩川大臣に限らず、米国のイラク侵略
を支持する日本政府高官や官僚たちに欠如しているのは、他人の痛みを我がこととし
て理解する能力ではなかろうか。NHKを始めとして、この戦争の報道は侵略者である
米国側から来る情報を一方的に報道する姿勢が目立ち、戦争を現地民衆の立場で報道
しようとする一部ジャーナリストからの情報は扱いが極端に少なかった。米国からの
報道は自国の戦果を強調し、犠牲者の姿がテレビ画面に映し出されることはほとんど
ない。だが戦争で死ぬのは生身の人間であり、それは悲惨なものだ。イラクで独裁政
治が終わっても、これだけ多くの人を殺した戦争は絶対に正当化されない。今後この
侵略における米国の戦争犯罪が明らかになり、イラク人自身の手で国家が再建される
よう、祈って止まない。

 

 

23 20031022日 世界恐慌は来るか?

 

皆さんこんにちは。半年振りの石狩通信再開です。

さて、増え続ける一方の日本の財政赤字、すでに危機的状況と思いますが、日本政府は巨額のイラク復興支援金という形で事実上の米国イラク侵略支援金拠出を決めました。(私は何もイラク支援に反対と言っているわけではありません。でもNGOを利用するなど、米軍の占領経費に金がまわらない形の支援にすべきと思っています)。経済が上向いているとも思えず、危機的状況は更に深まっていると思いますが、最近妙に株価が上がっています。どうも変だと思っていたら、ある本を読んで疑問がとけました。副島隆彦の『預金封鎖‐統制経済に向かう日本』という本です。

やはり、ブッシュと小泉の密約があったのですね。ブッシュが米国の投資家を動かして日本の株価を吊り上げたところで総選挙、これで小泉政権は安泰です。その見返りに、日本は巨額のイラク復興支援金を支払うということです。小泉は忠実なブッシュの番犬ですから、小泉政権が続くことは米国にとっても本当に好都合なわけです。日本は終戦以来米国の属国ですが、今の小泉政権のやっていることはもう『傀儡政権』と呼んで差し支えないところまで来ているといえましょう。自分の政権を維持するために、国民の血税を米国に差し出しているのです。思えば、ブッシュと小泉、本当に似た物同士と言う気がします。二人とも世襲政治家で、ニコニコしながら平気で大嘘をつく。一見愛想がいいから、何をやっても支持率はあまり下がりません(ブッシュの支持率は最近下がっているようですが)。小泉に限らず、福田、安倍など、小泉タイプの世襲政治家たちと、彼らと結託する官僚たちに今日本の政治が操られています。ヒトラーが昔、『大きい嘘ほど人は信じる』というようなことを言ったそうですが、イラク侵略戦争を正当化しようとするブッシュや、それを支持する小泉らの言動を見ていると、本当にそうなのだなぁと感じます。日本のメディアも批判能力を失い、NHKなども完全に『国営放送化』してしまった今、我々市民はもはや彼らの大きな嘘を見破るだけの材料を提供されていないのです。消費税引き上げには反対する人々も、公約破りの国債増発や、巨額のイラク『侵略』支援金拠出には全く無頓着です。要するに、差し当たって自分には影響がないからでしょう。でも、そのつけは必ずいつかまわってきます。今回の総選挙でも小泉政権は安泰でしょう。だから、我々市民はこの『傀儡政権』の横暴から自衛するしかありません。

なぜ政府は赤字国債を増発し続けるのか?答えは簡単です。彼らには、全く返す気がないのです。どうせ返せないのなら、今のうちにどんどん借りてどんどん使ってしまったほうがいいというわけです。すでに日本のGNPを大きく超えてしまった累積赤字を返せるとは、内心誰も信じていません。すでに日本の国債の信用度は先進国中最低です。債務不履行に陥るのは、時間の問題でしょう。というようなことは私も前々から考えてはいましたが、上記の本を読んで、問題はもっと大きいと知りました。これは、日本だけの問題ではないのです。

最近米国の財政赤字がクローズアップされつつありますが、米国の連邦政府、地方政府全て合わせた財政赤字は、日本のちょうど2倍程度あるそうです。GNP比から考えると、その危機的状況は日本とほぼ同じと言えます。米国の赤字はイラク侵略戦争と、ブッシュの『俺を再選してくれ』的な無責任金持ち優遇減税のあおりで、更に悪化することは必至です。その上、シティーバンク等米国の大銀行が、実は巨額の隠し不良債権を抱えているというのです。来年の大統領選挙までは、再選のためなんとか表面を取り繕って表向きの『好景気』を維持できるかもしれないが、選挙が終われば、そのつけが一気にまわってきて、大不況に陥ると言うのです。

この本の著者副島氏は、ずばり、2005年の世界恐慌を予言しています。そして、その震源地は日本ではなく、米国だと言います。シティーバンク等巨大銀行の巨額不良債権が明るみに出て、株価が大暴落、ドルも大暴落、米国債の利子が高騰して、世界的なインフレと大不況が同時にやってくるというのです。

米国が債務不履行に陥れば、米国に巨額の債権を持つ日本の経済もあっという間に崩壊します。日本も債務不履行に陥り、国債に多く投資している郵便貯金、銀行貯金、年金など、全て破綻してしまうでしょう。ここで政府が預金封鎖を強行すれば、国民は自分の貯金が下ろせなくなり、それが解除されたときには猛烈なインフレのせいで貯金の価値は数分の一に減っているというわけです。このように、政府は自らを破産させることで、借金をチャラに出来るのです。これは、日本の終戦後に実際に起こったことです。また、ローン金利は急騰し、自己破産が急増するでしょう。インフレと大不況で、実質賃金は大幅に目減りし、これまでの不況とは比較にならないほど生活は苦しくなり、犯罪も大幅に増加するでしょう。

では、この世界恐慌から、我々市民はどうやって身を守れるのでしょうか。完全に身を守ることなど出来そうにありませんが、少なくとも今ある財産を保全し、政府の借金の精算に使われないよう、対策を立てる必要があると思います。資産家の方なら、例えばスイスの銀行に財産を移すなどということも考えられるでしょう(あくまでたとえ話です。スイスフランが絶対安全かどうかは判りません)。ドルの下落は、すでに始まっています。でも円だってドルと同じ穴の狢な訳ですから、世界恐慌が起こったとしても安全な通貨を探す必要があります。米国に巨額の債権を持たず、債務が少なくて、財政赤字も少なく、資源を多く持つ国の通貨が一番安全と考えられますが、私もよくわかりません(アイデアのある方は教えてください)。副島氏は、金を買うことを勧めています。確かに、インフレで紙幣が紙くずになってしまうかもしれないような状況の中で、金は最後のよりどころとしてその価値を高めるでしょう。

ここまで書いてきたようなことは、本当に起こっては欲しくない事です。しかし今の状況を見ると、来るべき世界恐慌のXデイが日一日と迫っている気がしてなりません。2005年といえば、今からたったの一年数か月です。そんなに早くはないとしても、いつかこんなことが起こりうることを念頭において、備えをしておくべきではないでしょうか。

この本の著者、副島隆彦氏は国際金融・経済アナリストであり、決して左派系の人ではありません。にもかかわらず、米国の好戦的体質と政権の兵器産業との癒着を看破している所はチョムスキー氏の言っていることと変わりありませんし、日本の属国性を批判的に明らかにするなど、そういう意味でも面白い本です。経済の専門家からこのような言葉が出てきているのは興味深いと思います。

 

長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。では皆さん、時節柄風邪など引かぬよう、お元気でお過ごしください。

 

 24 20031027日 たった一人の反乱

 

 最近TVなどでも話題になっていますが、外務省の駐レバノン大使天木直人氏が、日本政府の米国イラク侵略戦争支持に反対する意見を具申したことから事実上の「解雇」となりました。氏は最近、「さらば外務省、私は小泉首相と売国官僚を許さない」という本を出版し、外務省の内部事情を赤裸々に告発しています。

 

 今日本の外交は、小泉、福田、安倍、川口などに代表される「日本版プチネオコン勢力」と、それと結託する官僚マフィアに操られています。米国の一時的な政権の無謀な戦争に加担し、アジア諸国との外交をないがしろにし、アラブ民衆の気持ちを踏みにじった彼らのやり方は、日本を更に危険な道に誘い込み、世界の民衆の信頼を失わせ、日本の「国益」(こんな言葉は使いたくありませんが)を目覚しく損なっていると思います。

 

 ことの詳しい顛末について、以下に北海道新聞と東京新聞の記事を引用しておきます。ぜひお読みになって、今の日本の政治がおかれた状況をお考えいただければ幸いです。

 

 

外務省に闘いを挑む

前駐レバノン大使 天木直人さん

 

 スキャンダルにまみれて「伏魔殿とも呼ばれた外務省が再び揺らいでいる。大使をやめたばかりの元外交官の反乱。内部を知る者ならではの説得力で機密費疑惑を暴き、日本の外交を「米国に追従するだけ」と告発する。

 外務省職員五千四百人。だが、それは、たった一人の反対表明だった。今年三月十四日。米国は単独でもイラク攻撃に踏み切る姿勢を強めていた。日本の外交には「攻撃反対」の選択はないように見えた。外交官として「おかしい」という言葉を一言も発せずに戦争になってしまっていいのか。迷いに迷った末、本省に公電を打った。

 「かつて、中東で手を汚していない日本には、平和の実現に向けた独自の役割があるはずだと思いました。国連決議なしの攻撃は、国連を死に追いやることになる。米国の主張は硬直的で、初めに攻撃ありきという本音をうかがわせるものがある、と意見を書き、送りました」

 最重要書類を意味する「A指定」を付け、小泉純一郎首相や外務大臣にも届けられるはずだった。文面はすべての在外公館にも送った。だが、熱意は届かなかった。

賛同の声はたった一つ。メールでこっそり寄せられた。

 「電報を拝読し、男泣きしました。今朝頭を冷やしてもう一度読みましたが、やはり泣けました。天木大使の後輩であることを心から誇りに思います」と。逆に外務省から届いたのは帰還命令。「若返りを図るため」と退職を迫られ、帰国後は同省幹部に「言動が組織の枠を踏み外した」としっ責された。「首相に公電を見せてくれたのか」と尋ねても、「そんなこと、ボク知らないよ」とはぐらかされた。八月末で、三十四年五力月の外交官人生が終わった。

 「あれは、あまりにも乱暴な戦争だった。開戦二日目にはバグダッドにすさまじい爆撃が繰り返された。何という非人間的な、そして傲慢な軍事作戦か。国の数だけ正義もあるが、正しい外交も間違いなく存在する。間違った外交もある。誤ったイラク戦争を全面的に支持した日本の外交は間違っていたと、私は確信している」

 怒りが、告発本執筆のエネルギーになった。しかし、出版日が近づくと、公電を打った時以上の迷いと怖さが襲い掛かってきた。「訴えられるかもしれない。一人で闘わなくてはいけない」。そんな不安で眠れない日が続いた。

 

 京大法学部に合格した時は大学紛争真っ盛り。政治運動に染まる同級生を尻目に、図書館にこもって勉強した。

「安保やベトナム戦争に対して、何となく反対の気持ちはあった。でも、学生運動をしたら、将来、就職できなくなると思っていました」

 在学中に外交官試験に合格し、大学を中退。あこがれの外交官になった。「普通は若い時に反骨精神を発揮し、年を取るに連れて現実的になっていくものですが、私の場合は逆。だんだん、不正義が許せなくなった」。特に、大使として二年前にレバノンに赴任してからは中東の現実に触れ、疑念が強まった。

「パレスチナでは老人や女性、子供まで巻き添えとなっている。いたたまれなかったですね。彼らは絶望の極みにいる。自爆テロは、最後の手段としての抵抗なんです」

外交官はポーカーフェースを貫かなくてはいけない職業だ。が、出版に合わせて今月八日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で開いた記者会見では、途中で思わず涙を見せた。「パレスチナでは十八歳の女性が自爆テロをしているんです」。鼻水をぬぐおうともせず、質問に答えた。

 

 著書では、イラクをめぐる日本の外交姿勢を批判したほか、外務省や官僚の実態も糾弾した。公金を私的な用途に使っていた実例や、カナダ大使館公使時代に目の当たりにした大使の公金横領などを白日の下にさらした。外交機密費については、一九六○年代半ばから毎年二十億円を内閣に還流させる慣例があったことを告発した。

「二年前の外務省のスキャンダルは終結したように見られています。しかし、すべてを隠ぺいする体質は本質的に変わっていないということです。機密費の問題は、二十数年前に会計課の関係者から直接聞いた話。当時は省内で公に言っていたことです」

これらの疑感について、外務省は一切否定している。

出版の直後に衆院が解散した。

「この本が不正をただすのに役立つよう祈っています。ただ、政権交代のシステムがなければ外務省は変わらないでしょうね」

 

天木直人氏:1947年山口県生まれ。中近東アフリカ局第2課長などを経て、在豪公使、米デトロイト総領事、、駐レバノン大使を歴任。退職後、「さらば外務省!」(講談社)を出版した。大阪府在住。56歳

 

以上、2003年10月26日付北海道新聞より抜粋。

 

 

天木直人氏の『さらば外務省』

 

 開戦前後、イラク戦争に反対し、公電を送った外務省の大使が、事実上「解雇」された。「戦争回避」への意見は、"たった一人の反乱"として封殺された。前大使は今、対米追従に終始する小泉首相、旧態依然とした外務省の体質を厳しく批判する。前駐レバノン大使の天木直人氏(56)が語る「さらば外務省」の思いとは−。 (浅井正智)

 「解雇」は、三月二十日のイラク戦開戦前後に川口順子外相にあてた二本の公電がきっかけだった。公電とは、在外公館から本国政府に伝達される公文書のことだ。

 一本目は開戦直前の三月十四日。「戦争回避のための外交努力を続けなければならない。たとえ戦争が避けられないにしても、国際社会の合意を取り付ける努力をし、米国の単独攻撃には反対すべきだ。さもなければ国連による集団安全保障体制は完全に死滅する」

 もう一本は開戦後の二十四日だった。「不幸にして戦争が始まってしまった今、日本がなすべきことは、米国支持を繰り返すことでも、戦後復興にいち早く手を挙げて日本を宣伝することでもない。外交の権威を取り戻すために、外交によって早く戦争を終結させるべきだ」。二通とも全在外公館にも送った。

 外務省からはすぐに反応があった。二本目の公電を打った数日後、北島信一官房長から電話があり、「あんな電報を打ってきて、外務省を辞めるつもりか」と詰問されたという。さらに、六月ごろ、北島官房長から再度電話があり、「レバノン大使を最後に退職してもらう」と「最後通告」を受けた。しばらくして竹内行夫事務次官の署名が入った通知が送られてきたが、そこには「今回、退職してもらうことになった。川口外相が進める若返り人事の一環であり、了承してもらいたい」と書かれていた。

 

 ■若返り人事とは「事実上の解雇」

 

 天木氏はこう振り返る。「外務省の先輩・同僚の例をみても、不祥事でも起こさない限り、辞めさせられることはない。出世が遅い人でも一度、大使に出た後、どこかの大学の先生になったり、特殊法人に天下ったりして、また二−三年してもう一回、大使を務め外交官生活を終わるというケースが多い。外務省は私の退職を『勧奨退職』と言っているが、事実上の解雇と受け止めている。三十五年間の外交官生活がこんな紙切れ一枚で絶たれるのかと思うと腹立たしい気持ちでいっぱいだ」

 天下りのあっせんでは、北島官房長から「面倒をみてやる。ただし二年だけだ」との打診があった。しかし、天木氏は「人をばかにした侮辱的な対応。これで外務省と決別しようときっぱり決心した」と話す。

 京大三年在学中に外交官試験に合格し、一九六九年に同大を中退して入省した。アフリカ二課長、オーストラリア公使、カナダ公使、デトロイト総領事などを経て、二〇〇一年一月から駐レバノン大使となったが、今年八月二十九日付で退職した。

 

 なぜ公電を打ったのか。

 

 「小泉首相の外交姿勢があまりにも間違っていると感じたからだ」と、天木氏は説明する。

 

 「私は諸外国の政府・外交筋から、米国が開戦一年前に、すでにイラク攻撃の意思を固めていたとの情報を得て、外務省にも報告していた。『フセイン(元イラク大統領)は悪人であり、攻撃しても世界は誰も非難しない』というのが米国の論理だ。これは戦後の集団安全保障体制を曲がりなりにも支えてきた国連の存在を踏みにじった行為。にもかかわらず、戦争が始まると小泉首相は早々と米国支持を打ち出した」

 

 ■「親日アラブ人失ってしまう」

 

 さらに、アラブの人たちへの思いもあったという。

 

 「アラブ人は中東で植民地政策を行ったことがない日本に親近感を持っている。それだけに、今回の対米支持は大きな失望感を与えた。彼らは『日本は米国に原爆を落とされ、占領までされ、最も戦争の痛みを分かっているはずではないのか。なのにどうして簡単に米国が支持できるのか』という思いを私にぶつけてきた。しかも首相は何度も繰り返し支持を表明した。この行為は親日的なアラブ人の心を深く傷つけた。私は、小泉さんという人は外交について何の見識も関心もない人だと思った」

 

 「この状況を目の当たりにし、今、発言しなければ三十五年間、何のために外交官をやってきたのかという思いに駆られた。それに発言を公の文書として記録に残したい気持ちもあった。こういう発言をした外交官がいたということを歴史にとどめたいとも思った。ただ、はじめから辞めてやろうという気はなかった。辞めれば敗北者になってしまうからだ」

 

 「解雇」は今回の公電だけでなく、実は伏線があったようだ。天木氏は、アフリカ二課長時代、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)に反対し、経済制裁を科すよう主張した。

 

 「あれは誰がみても人種差別であり、私の意見もとり入れられたが、それまでこうした主張をした課長はおらず、野党的な言動と受け取られた」と話す。

 

 外務省では、条約局や北米局など日米同盟を最優先に政策を決めていくグループが本流とされ、政策決定プロセスは自民党政権の意向に傾斜しすぎているのが現状だという。しかし、天木氏は「私はおかしいと思ったときには堂々と反対を唱えてきた。省内で歓迎されざる人物と思われていたと思う」と分析する。

 

 ■待遇面でも差別"準大使"の扱い

 

 実際、天木氏の省内の出世は遅く、「待遇面でも差別を受けてきた」という。大使の俸給月額は最も安い一号俸で百二万円だが、駐レバノン大使になった後も約八十万円。さまざまな理由をつけられ「準大使」の扱いになっていたためだ。

 

 「何かトラブルを起こしたら、クビにしてやろうと目を付けられていたのでは」との問いには、「そうだと思う」と話す。

 

 しかし、現在、「大義なき戦争」といわれるイラク戦争。天木氏以外に、反対の声を上げた外交官はいなかったのだろうか。

 

 「いない。外務省では反米的言動をする人は出世できない。これは同時中枢テロに始まったことではなく、はるか以前からの体質だ。特に若い外交官は大使になるために、自分を殺して組織に迎合しなければならない。憂うべき現実だ」

 

 天木氏は八日、東京・有楽町の外国特派員協会で講演。同日、講談社から「さらば外務省」と題する著書を出版し、外務省の実態を告発する。

 

 これから外務省と戦っていくつもりなのだろうか。

 

 「本心では、この講演と著書をもってこの問題は終わりにし、今後は日本とレバノンの民間交流に役立ちたいと思っている。しかし、外務省が機密漏えいなどを口実に、私を訴えてくる可能性がある。実際、『公電を他人に見せたりすれば、機密漏えいに問われる』などという電話も受けた。もしそういうことになれば、私は命をかけて最後まで戦う覚悟がある。私にはもはや失うものは何もない」

 

以上、2003年10月26日付東京新聞インターネット版より抜粋。

 

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